ギフト小説

汐凪のうた



「棒ない?棒」
「そのへんにいくらでもあるじゃねぇか」
「あれは手、怪我しそうなんだもん」
「じゃあ足で書け」
「………」
「何か書くつもりだったんだろ?」
「そうだけど。足じゃ、なんか…」
「早くしねぇと日が暮れるぞ」
「わかったよ。後ろ向いてて」
「は?なんでだよ」
「いいから!ボクがいいって言うまで見ちゃだめだからね!」
「へぇへぇ。なんでもいいさ」
「よーーし!」
「なぁにが楽しいんだかな」
「〜〜♪」
「あっち行っとくぞ」
「できた!」
「あ?」
「まだいいって言ってない!」
「……できたんだろが。首を持つな」
「見ないでよ」
「はぁ?」
「もうすぐだから」
「なにが」
「波」
「波?ってうわっ!」
「はい、いいよー」
「いいよって、…消えてんじゃねえか」
「うん。それより濡れちゃったね」
「気持ちわりぃな…。帰るか」
「そうだね。ここ、シャワーとかあんのかな」
「戻ってからでいい。つうかお前のせいだぞ」
「足とられてたくせにー」
「当たり前だ、あんな体勢でどうしろってんだ」
「でも楽しかった」
「お前はな」
「明日も来ようね」
「何書いたのか教えたらな」
「知りたい?」
「別に、オレは?」
「じゃあ秘密」
「いいんだな?」
「いいよ。ひとりで勝手に来るから。どうせついてくるでしょ?」
「誰が行くか!」
「心配じゃない?」
「全然」
「あっ、そ。働いちゃおーかなー」
「働く?」
「あそこ。看板になる」
「…………やめとけ」
「売り上げアップ間違いなし!」
「その自信はどっからくるんだ」
「実績」
「…………」
「ほら、心配じゃない?」
「ああ、店やら、客がな」
「じゃあついてくるね。はい、決まり!」
「言う気はねぇのか」
「うん。そういうこともあるでしょ」
「どういうことだよ…」
「でも忘れないで」
「は?」
「覚えてて。グリードの後ろで、何か書いたこと」
「…ああ」










その笑顔に、何も言えなくなった。
















fin.



サキオさまへ捧げます。
素敵なイラストありがとうございました!


色遠。






色遠さま、ありがとうございましたーーーーー(´∀`*)!!!!!
最初に私がこのお話を読んだとき、「エンビかわいい!萌え!」と、ぱーっとイメージが浮かんだので一方的に贈呈させていただきました。そのお返しにということでこのお話もいただいたのですv
色遠さんのサイトR.O.G.へはこちらからどうぞ。現世パラレル、役者稼業で身を立てる二人(エンビはアイドル)の幸せな日々が読めます!

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