Mother Other
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人間の女。最初に見た顔。
意識はまだ朦朧としていたけれど、熱に浮かされたようにその言葉を覚えてる。
お前は私の息子から出来て、だけど息子じゃないの。
だから私はお前の母ではないわ。
まるで夢の続きのようだった。
どこからが現実か定かでなかった。
あの人は出て行った。
だからあなたには私だけ。
まだ何もわからないのね。
大丈夫よ、全て教えてあげる。
そういって僕を引き寄せ、抱いた。
(あなたに命をあげる。)
(ぬくもりをあげる。)
(欲しくても欲しくなくても、)
(側にいてあげる。)
ただひたすらに、失った者の代わりを欲していたのか。
異形の体液で己を染めたかったのか。
それともこれは何かの決意の証?
虚ろな眼差しに寂寥を認めるには、僕はまだ、かたちもこころも人間には遠すぎた。
だけどそんな僕を抱きしめたね。寂しさを埋めながら利用し騙そうとしたね。
文字通り同床異夢。
覚えたのは軽蔑と僅かな憐憫、そして体温。
長くは続かず、あの人はすぐに代わりを見つけた。
束の間の遊び、ほんの気まぐれ。
たったそれだけのこと。
だけど気づけば、四百年を共に過ごしていた。
END
なにげに第一期アニメのダンテとエンヴィーが好きです。ホーエンハイムがいなくなって残された二人の最初の頃を思うと、つい勝手に妄想してしまいます。特にこの話では暴走してカプ化してしまいました。(2009/3/18)
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