モクジ

● ギフト小説 ●


a love day



「なにしてんだ?」
「ぼーっとしてる」
「楽しいか」
「んー?まぁね。ちょっと眠いけど」
「寝ろよ」
「いま寝たら昼過ぎまで寝ちゃいそうだからさ」
「そのまま明日まで寝てたらどうだ?」
「…。出かけたくないの」
「お前が寝てても出かけるけどな」
「…………」
「わかってるっての。約束しちまったからな。しゃあねぇ」
「一日中拘束、だからね」
「いつもと変わんねえ気がしねぇか?」
「そんなことないよ。いつもより遠くに行く」
「げっ…。どこだよ?」
「どこにしようかなぁ。電車がいいな。とりあえず終点まで」
「目的地を決めてからにしろ」
「そこから適当に乗り継いで、また終点まで行く」
「一日で帰ってこれんのか、それ?」
「大丈夫でしょ。帰れなかったら帰れなかったとき」
「そのときには約束は終わってるわな」
「勝手に帰ってもいいよ?ボクはひとりじゃ帰れないと思うけど」
「情けねぇヤツだな」
「しっぽ巻いて帰る方が情けないよ」
「誰がしっぽ巻くだ?」
「だって、ついていけなくなったってことでしょ?」
「…てお前、もしかしてその後もまだ連れまわすつもりなのか?」
「帰れなかったときはね」
「……」
「いいじゃん夏休みなんだし」
「世間は、な」
「でも夏休み」
「まあな」
「一日で帰して欲しかったら早く着替えて」
「帰りたかったら、じゃねえのか」
「だって」
「その通りなんだがな、全く」
「なら文句言わない。ボクはもう準備できてるよ?」
「…そういえば」
「日焼け止めも塗った」
「お前いつから起きてたんだ?」
「2時間くらい前かな」
「そりゃ眠いわ…」
「起きちゃったんだもん」
「…そんなに楽しみにしてたんだったら、」
「ん?」
「服でも選ばしてやろうか?」
「……プッ!」
「あぁ?!」
「普通それ逆でしょ!ボクが選ばしてあげる立場!」
「それもどうかと思うが…。お前いちいちうるせぇじゃねえか。ヒトの格好に」
「まぁね。じゃあ選んだげるっ」
「あんまりひっくり返すなよ」
「はいはい!」
「おい!ひっくり返すなっつうに!」
「これどう?」
「ああ…別にいいぞ」
「じゃあこれね」
「やけにあっさりだな」
「最初からさ。これに合いそうな服持ってきたんだ」
「……」
「ど?おんなじ系統でしょ?」
「ほんと楽しみにしてたんだな」
「うん!」
「…………このまま押し倒すってのもないことはないがこんなに浮かれてんだったらな」
「なんか言った?」
「いや」
「……!」
「約束の始まりのしるしに」
「……不意打ちだ」
「嬉しいくせに」
「悪かったね!」
「悪かぁねえな。ついでにお前からもするならもっと悪くない」
「………」
「約束の始まりだろ?」
「…今日、だけだからね」
「どこがだ」
「言われてするのは、ってこと!」
「なんでもいいから早くしろよ。出掛けらんねーぞ?」
「ばーか、」
「…」
「……約束、だからね。一日中、」
「お前が傍にいればいい」
「!」
「行くか」
「うん!!」
















fin.




サキオさまへ捧げます。

色遠。


「汐凪」と共に頂きました!ありがとうございます…!!!!
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