Eternity

本誌95話(ガンガン2009年度6月号掲載)関連企画第一弾

絵と微妙にエンエドエン気味なポエムつきです
かなり管理人の解釈が入ってますのでご注意









二つの死


人間には二つの死があると誰かが言った

肉体の消滅と
忘れさられることの死

そしてこうも言った
お前は変身して人を欺いてばかり

誰もお前の本当の姿を知らない
何をしても知られることはない

つまりお前は人間にとって存在しないに等しい

あわれなホムンクルス
肉体の死も忘却もないかわりに
お前は生きたこともないんだ


勘違いも甚だしい
その場で即座に消してやったよ

そいつの名前?

知るわけがない
どのみち聞く気もなかった









あれから気の遠くなるような時間がたった
定めとは皮肉なもの

今度は自分が地に伏し 一歩も動けないでいた
全身の骨が砕ける痛み 息も絶え絶えに敵どもを見上げる


奇妙なもの
ついさっきまであれほど生きたいと願ったのに
今は 自分で決めた

傍らにたたずむクソ虫どもに見守られ
死期を選んだ



人間 認めてやるよ

思わぬ所から痛恨の一撃 これでついに丸裸にされた
身体だけでなく 心まで
致命傷を負った


真実の奥の真実

見られたくなかった姿
知られたくなかった事実


ほんとうに 屈辱の極みだよ




だけど絶望にうちひしがれたとき 思ったのさ

ならばとことん 見せてやる
肉体は滅びるとも その死に様を
記憶に刻み込んでやる


嫉妬という名の生を
与えられた役を演じきるために
己で幕を引く





身体の奥 脈打つ魂を抉り掲げれば 流れる熱い血潮

涙に曇る視界の中 年端もいかないガキが瞳を見ひらく


そうだ見るがいい

お前はきっと忘れない

ぼろ雑巾のごとく矮小な肉体を晒し
悪態をつき通し 逝った存在のことを

生ある限り思い出すだろう




それはこの身がなし得る最後の悪意
究極の復讐


この身体が砕け塵となり
数百年の生が幻のように 跡形もなく消え去っても

記憶の中 生き続ける怪物になる

物陰で 夜のとばりの中で 繰り返し繰り返し 訪れ
悪夢を囁きつづける


そんな願い









……だけど最後 いつも詰めが甘い

そして気づいてしまうんだ
哀しい くだらないこと






まっすぐに落ちた視線 むかつくガキの瞳は
もう会えない 父と同じ金色





本当に 頭に来るよなぁ

綺麗事ばかりならべやがって
お前なんか大嫌いなのに




そんな目で見るなよ


何故か 懐かしくなる








悔しいから 捨て台詞

最後にそいつの名を呼んだ

――――絶対に 忘れないように










END





【作者後記】
本誌の方のネタを引きずっててごめんなさいですが、そろそろアニメの方ではエンヴィーが大活躍!(当社比)ですね^^
とりあえず性懲り無く、三部作ということでまったりあげていく予定です。
それにしても冒頭の絵のエンビがネタとは裏腹に何だか元気そうですが…まあいいや。(2009/5/25)